ケセラセラ
こちらに到着してから、もう10日間程が過ぎてしまった。何もこれといった出来事もなく、ただ時間だけが過ぎていく。テレビやラジオや新聞などいらない!それが休日だ!と叫んだところで出来っこないし
所詮むりである。どうもここでは本当の意味での休暇にはならないようだ。でも、それで良いのかもしれないし、それが良い。なるようになれ〜、である。ところで、2日遅れでハワイに到着した子供達は時差ボケか、まったく夜と昼が逆転しまった様子で僕との生活時間帯は正反対で相当ずれてしまっている。これもまた良し、自由にすれば良いと思って何の注意もしない。娘は卒業を終えて今が一番素敵な時間を過ごしている事だろうし、息子は来年の自分の姿を重ね合わせているのだろう。何と平和な瞬間、何と幸せなんだろう。ハワイはよいとこ?一度はおいで!なんて、鼻歌が出てきそうであるのだが、そんなのんきな気分が申し分けないようなテレビ番組を見てしまった。それは昨夜、こちらのケーブルテレビで「NHKのど自慢・イン・ハワイ」の放送までの舞台裏をドキュメントタッチで紹介した番組である。(多分、日本では放送済みであろうが、僕は放送日と時間の関係なのか?殆ど見る事のない番組である。)40年前のハワイからの放送のVTRを含め、当時の司会者の宮田輝氏や出場者、演奏家(1人)、それに鐘を鳴らしていた方(1人)などへのインビューなども取り上げていた。サブタイトルには「40年ぶりの同窓会」と、名付けられていた気がする。考えてみればここも昔、日本人の多くの移住者がやって来たところである。皆さんのお話の一つ一つに先祖の苦労ばなしが聞こえていた。さとうきび畑での昼夜とわずの重労働など常に忘れず、母国を愛する思いなど痛切に感じられた。今や4世の時代ではあるのだが日系人としての誇りは衰えてはいないと思った。ここハワイは、バブルの時代に終焉を迎えた今でも観光客でいっぱいである。年齢を問わず休暇を楽しんでいる。もちろん僕達もであるのだが・・・。けどハワイに来たら一瞬でいいから、先人の苦労の上に成り立ったこの場所とこの幸せに感謝しなければならないとも感じた。のん気に鼻歌など不謹慎はなはだしい!ゴメンナサイ・・・。
さて、放送内容(のど自慢)はいつもと同じで何も変わっていない。何も変わらないから長寿番組である。違うとすれば場所と出場者だけで、1世〜4世までの日系人とごく少数の白人であった。こちらには2つの日本語ラジオ局とテレビ局があるせいか?日本と同時にニュースや情報が耳に入ってくる。音楽に関してはローカルの中年以上の方はやはり演歌、いまでも美空ひばりさんが根強い人気をほこっている。又、若者にはやはりポップスが支流で、今回の「のど自慢」でもさまざまな曲が披露されていた。その結果、優勝者は日系3世の若い女性に決定した。曲は「ほれほれ節」と言う、昔から歌い継がれている曲との事で衣装も当時を思い起こすようなシンプルな物であった。正直に言って歌の上手さはそれほど感じなかったのだが、何か魅力が伝わってきた。何だろう?番組が終了してから考えてみた。あえて言葉にすると親から子へ語り継がれた歴史だろうか?何気ない家庭での会話の中から自然に身に付いてきた日系人としての感性かもしれないし、ただ単に言葉の意味も理解できないまま無表情で歌った成果かもしれない。どちらでもいいのだが歌は国境を越え、人種までも越えてしまうのは事実であった。けど、個人的には「親から子へ」に期待したいし時代を受け継いぐ事の大切さを忘れないでおこう!それにしても「のど自慢」、ここハワイで見る事ができてよかった。日本で見ていたとすればただ単に聞き流していたであろう。きっと海外で生活している日本人はいつもこんな気持ちで歌を聞いているんだろうな〜。ただ時間が過ぎて行くのを、なるようになれ〜と考えていた僕には妙な心境であった。「歌はいいなあ〜!いつまでも心の中で生きているんだ!」。歌手を職業にしてよかった。僕もそんな歌をこれからも唄っていけたらなあ〜。でも休暇で来たはずのハワイで仕事から離れられないこのバカさ加減?やっぱり僕はじっとしていられない性格なのか・・・?。 ♪ケセラセラ♪