NYからのニュース

 3月11日は悦ちゃんの誕生日、彼女は今年も29才と言い僕と息子を呆れさせたが、本人はいたってマジで気にしている様子まったくなかった。その日はニューヨーク・テロ事件からちょうど半年、NY滞在中の妻と娘の安否を気遣って息子と電話をかけまっくていた事も思い出した。そして、テレビからは今話題の人、鈴木宗男議員の証人喚問を各局が生放送していて、当然に僕も評論家になった様な気分になってしまった。日本とアメリカ、国に影響を与える事件やテロ、様々な事を考えざるをえない大きな一日でもあった。

朝、NYの娘から電話が入った。それは母親への誕生日のお祝いの電話だった。それと事件からちょうど半年が過ぎ、彼女自身もあのテロ当日にNYにいたせいか改めてグランド・ゼロをどうしても見たいという。それもなんとヘリコプターで空からとの旨であった。冷静さを取り戻したNYとは言えヘリコプターに乗りたいとは…私達夫婦は心配でならなかった。でも、彼女の声からは反対したところでやめる気がない事ははっきりしていたので本人の判断にゆだねることにし、ツアーが終りしだいすぐに確認の電話をさせることにした。20〜30分程の飛行だろうか?一時間後には再度電話が入った。興奮気味に夕方のマンハッタンの美しさを話していたが、未だにテロ現場近くには煙がたち込めくすぶっている様子に声も沈みがちに響いた。飛行料金の160ドルが高かったか?安かったか?その価値は本人しか分らないが上空から見た光景が彼女の目にはどう写ったのか、改めてじっくり聞いてみたい気がした。僕は彼女一人で出かけたと思っていたのだが、どうもボーイフレンドと一緒だったようだ。母親にはその事を話して父親の僕にはナイショ!頭にきた!バカモノ!このタコ!

もう一つ。NY在住の友人からメールが届いた。彼女は娘の良き相談相手でもあり、何かと面倒を見てくれている古くからの僕達夫婦の友人である。そのメールには誕生日に関する事、それに3月10日に放送されたアメリカCBSのドキュメンタリー番組についてのコメントが書いてあった。その番組とは日本のニュースでも何度となく放映されて記憶に新しいと思うが、アメリカン航空機がWTCへ突入した瞬間をとらえた時のテロ映像の事である。どうしてあの映像が撮影されていたのか?メールが教えてくれた。それは当日、偶然にもフランス人の兄弟が事件現場近くの消防署に勤務する友人を紹介しながら、NYの消防士をテーマに番組制作の撮影をしていたようだ。カメラは旅客機突入から南北のビル崩壊、直後の消防士達の救助活動や周囲の人々の様子を詳細に、又、なまなましく撮影していた内容だったそうだ。どうも想像がつかない程のスケールの大きな番組であったようで、通常民放では考えられないプライムタイムの2時間をコマーシャル抜きでの放送、それに放送各社の多くのプロデュサーやエデイターが参加して制作に携わり、ホストには現場近くのトライベッカ地区に住む俳優のロバート・デニーロが担当したとの内容にも伺がわれた。僕はいつもアメリカ国民は自分達が受けた事件や事故の痛みや悲しみ、又、何かを成し遂げた時の喜びを決して忘れないと思っている。いつまでも心の中に刻みつける気質がある。だから、多くの犠牲者を出したあのテロ事件は決して風化させる事はないと思う。僕はそんな気質が好きである。悪に対しては国民全員が立ち向かい大統領へすらYESかNOかを問いただし、ヒーローに関してはいつまでも国の誇りとして敬う。当たり前の様だが何かを忘れてしまった今の日本と比較してしまう。アメリカがすべて良しではない。ただ僕は自分の国、日本を愛してやまないだけである。だから、そんな気持を込めた番組を日本でも放送して今後の日本を考える参考になれば良いと思う。

「9/11」 It is an extraordinary view of history at moment that it happens. 〜The New York Times〜

日本のニュースはこのところ、鈴木宗男議員の疑惑と加藤紘一議員元秘書の脱税問題一色である。地盤(選挙区)、看板(知名度)、鞄(金)。特に金に絡むと関与してくる政治家や秘書、学力優秀なれど社会人としては一般常識に欠ける官僚などに関して毎日、テレビや新聞で報道している。この件は徹底的に真相究明をしてもらいたいと思うし真実を明確に伝えて欲しい。これまでの様に事件の決着が落着として欲しくはない。昨今、報道のあり方も含め日本人の国民性も問われる時代になってきている。使い古された諺に「日本の常識は世界の非常識」と言うのがあるが、この事件はきっと、国民への痛みと日本国への多大な損害を与えそうな結果になるであろう。だから決して風化させる事なく、心に刻みつけて近い将来には政治家、マスメデイア、国民のすべてがモラルと言う大切な心を確立できる良いチャンスにして欲しい。日本の常識が世界の常識になる事を願って…。「NYからのニュース」、友人からのテロ事件のドキュメンタリー番組に関するメールは、様々な事を考えざるをえない大きなテーマを与えてくれた。