奇跡

5月上旬、7月25日発売の新曲、「何十億のキセキ」(作詞:暮部拓哉、作曲:田村武也)「あなたのとなりに」(作詞:作曲:田村武也)のレコーディングを終えた。これまでの曲調とは一味違った素敵な楽曲にめぐり会えた気がする。作曲の田村君、作詞の暮部君、二人から送ってくれた「デモ」から、その人柄を何となく感じて初対面ではあったがとてもスムーズに仕事が進んだと思う。

さて、僕にとってのレコーディングとは独特の緊張感、孤独感、又、劣等感を感じる時でもある。劣等感?若い頃には一日に何十曲レコーディングしても声の状態に、これといった変化は感じなかった。しかし、寄る年波?声帯も衰えてきていると感じてしまうし声のかすれや高音のコントロールなど、自分しか理解できない微妙な感覚を味わうはめになる。皆さんには「変わらないね」などと言われてはいるが、内心は複雑な気持ちだ。

防音のスタジオのブースでヘッドホーンから流れてくるメロディー(カラオケ)に合わせて歌う。ガラス越しにプロデューサー、ディレクター、ミキサー、エンジニア、作詞家、作曲家に加えてスタッフ全員がミキシング・ルームの中、それぞれが無言で聞き入っている。歌い終えて椅子に座って指示を待つ。一瞬ではあるが、「その間」、それが何とも言いようのない瞬間である。うまく歌えているのか、音程はどうだったか、歌の表現力はどうだったのか、等々、短い時間ではあるが頭の中を駆けめぐる。そして、ディレクターからの指示を待つ。何度もプレーバックを聴きながら修正していく。その間、ずっとスタジオの中、スタッフの顔色が伺える。一体、どんな話をしているのだろうか?気になるものだ。どんなベテラン歌手も同じだろうと思うが孤独な気持ちになるのも当然だろう。

ライブ・コンサートとは違う緊張感のレコーディング、振り返れば40数年の長きに渡って繰り返している。毎年、口にする事が多くなったが、よくここまで続けていられるのか不思議な気がする。反面、ここまでくれば・・・、いっその事?50周年を目標に頑張ろう!
などと、思うもものの果たして可能なのだろうか?今、一つの大きな目標の入口に立った様な気分である。

コマーシャル的な言い方だが、今度の作品、僕自身はチェリッシュの出発地点に戻った様な作品だと感じている。(言葉ではうまく説明できないが・・・)新曲「「何十億のキセキ」、僕たちにどんな「奇跡」を起こしてくれるのか?本当に楽しみである。是非一度、お聴きいただき、感想をお寄せ頂きたいとお願いしたい。


スタジオにて


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